第18章 お見舞い
「そう! そうだよね、私もそう思うけど、あのときは何故か私もハンジさんもそんな風に思っちゃったんだよ」
しれっと答えるナナバ。
「ホントどうかしてたんだ。だからニファ、“神聖な儀式” は忘れてくれないか」
真剣な声色のハンジに乞われ、ニファはうなずいた。
「……仕方ないですねぇ。ハンジさんも常日頃巨人のことで頭がいっぱいだから、そんな変な勘違いしちゃうんですよ。リヴァイ兵長が儀式だなんて!」
「ふふ」
ニファの方を見ながら微笑んだマヤに、ナナバがすかさず訊く。
「どうした?」
「なんだか皆さんの話を聞いていたらおかしくって。兵長が神聖な儀式とか想像したら笑っちゃいます」
「何なに? どんな想像したの?」
ハンジも訊いてくる。
「えっとウォール教の礼拝みたいに信者さんが輪になって祈っている真ん中で、兵長がクラバットを天に掲げてるんです」
真剣な顔で語るマヤに、ニファが突っこむ。
「何それ、うけるわ。もちろん眉間に皺は寄ってるよね?」
「はい。そうじゃないと兵長じゃないから」
「確かにね。兵長のあの縦じまは、どうにかならないのかな」
そう言ってナナバは、自分の眉間に皺を寄せてリヴァイの顔を真似てみせた。
「ははは! なかなか似てるじゃないか、ナナバ」
ハンジが笑えば、ニファも手を叩いて喜んだ。
「ナナバさん、その顔芸、年忘れの宴会でやったらどうです?」
「お~、ニファ! それは名案だ。私とナナバ、ニファの三人でリヴァイの顔真似をやろう!」
毎年年末におこなわれる “年忘れの宴会” では、余興で各分隊から数人が何かしらの芸を披露することになっている。
「え!? 私もですか!?」
顔を強張らせるニファにハンジは当然といった顔でうなずいた。