第18章 お見舞い
「ハンジさん、私もそこ… 気になります。“神聖な儀式” とはなんでしょう?」
せっかく話が終わりかけていたのに、ニファの発言でマヤも再び疑問を口にする。
ナナバは直感的に、この場で “恋のまじないうんぬん” の話はしない方が良いと考えた。
以前に大浴場で話したときの、マヤの恋愛に慎重で臆病そうな様子が思い返される。
……マヤの気持ちを尊重しながら、ゆっくり見守っていかないと!
「“神聖な儀式”…。それはリヴァイの想いがマヤに届きますようにと…」
「……兵長の想い… とは?」
鋭くニファが言葉を挟む。
「それはもちろんリヴァイがマヤのことを…」
ハンジがそう答えかけたとき、ナナバは叫んでいた。
「もちろんマヤが早く目を覚ましますようにと願いをかけたんじゃないかなって思ったんだ、ハンジさんも私も。そうですよね?」
「あっ、あぁ…」
有無を言わせない勢いで迫るナナバに、ハンジはめずらしく目をぱちくりさせている。
「……見守っていくんでしょ! 変なこと言っちゃダメ!」
素早くハンジの耳元に口を寄せ、ナナバはささやいた。
「……え? それってリヴァイ兵長が、マヤが早く目覚めるようにとクラバットを使って儀式をしたって意味ですか?」
ニファの声は、ますます不審そうだ。
ナナバに小突かれてハンジが返事をする。
「あ、うん。そうだよ」
「早く目覚めてほしいっていうのはわかるけど、儀式なんかしますか? あの兵長が? ねぇ、マヤ?」
ニファに話を振られてマヤは慌てて同意する。
「あ、うん。そうですね…」