第18章 お見舞い
「……ハンジさんとナナバさんに体を拭いてもらったんですか?」
「うん、そうだよ~」
「すみません。何から何までお世話になってしまって…」
恐縮しているマヤに、ハンジは豪快に笑った。
「いいんだよ! マヤのナイスバディも拝めたし、面白いものも見せてもらえたし。そうだよねぇ? ナナバ?」
「えぇ…、まぁ…」
察しがいいナナバはすぐに、ハンジが何を言おうとしているか理解した。
……あのクラバットのことだ。
ハンジさんはマヤの胸にかけられていたリヴァイ兵長のクラバットが恋のまじないだと決めつけていたけれど…。
本当かどうかも疑わしいのに。
それに大体、リヴァイ兵長がマヤのことを好きだとかいう話も “言いふらさないように” と釘を刺していたくせに。
ニファにばれてもいいのか?
いやその前に、マヤ本人に言っちゃっていいの!?
ナナバは内心でかなり焦りながら、相槌を打っていた。
「……もう! からかわないでください、ナイスバディだなんて…。というか…、“面白いもの” って?」
案の定マヤが、“面白いもの” に興味を示した。
……ヤバい。もうハンジさんったら! どうなっても知らないから!
ナナバは腹をくくって、事の成り行きを静観することに決めた。
「よくぞ訊いてくれたね、マヤ!」
やたらハンジは嬉しそうだ。
「あのとき、君は意識がなく運ばれてベッドに横たわっていた。気付け薬も効かず、我々にできることは君が目覚めるのをじっと待つだけ…」
「はい…」
芝居がかった声で話し始めたハンジに、マヤはごくんと唾をのみこみ聞き入る。