第18章 お見舞い
18時半を過ぎマヤは今、夕食の最後の一口を食べ終わった。
「ごちそうさまでした」
感謝をこめて両手を合わせる。
……今日の蒸し鶏のサラダ…、マーゴさんが言ってた秘伝のたれのだわ。美味しかった!
いつも豪快に笑っているマーゴと、ちょっぴり無愛想だけど腕のいいジムの姿が目に浮かぶ。
……早く、食堂で食べたいなぁ。
そんなことをあれこれと考えながら、満たされたおなかの幸せを満喫していると、アウグスト医師のサンダルの足音がぱたぱたと聞こえてきた。
シャッとカーテンが引かれる。
「ふむ。また綺麗に完食だな、結構結構」
「はい、だって美味しいんですもの」
「ははは、そうだな」
笑いながらアウグストはトレイを持ち上げる。
「ではマヤ、わしはこれで上がるから、またちゃんと戸締りをして寝るんだぞ?」
「はい」
マヤがうなずいたときにちょうど、ばたんと扉の音が大きく響いた。
「やっほー! マヤ! 具合はどうだい!?」
「ハンジさん!」
にぎやかに医務室に入ってきたハンジの後ろに、ナナバとニファもいる。
「ナナバさんにニファさんも!」
「マヤ、見舞いに来たよ!」「大丈夫?」
女子兵士三人の訪問は、一気に医務室を華やかに彩る。
「ハンジ、よく来たな… と言いたいところだが、わしはもう帰るところなんだ」
少し困った様子のアウグストに、ハンジは何も問題はないとこう提案した。
「ここの鍵なら私が責任を持って団長室に返却しておきます」
「いや、しかし…」
「頼みます…! お聞きでしょうが、マヤがここに世話になってるのも私の行動の結果なんだ。せめて見舞いくらい…!」
ハンジは両こぶしを握りしめながら訴えた。