第18章 お見舞い
「あぁ。……マヤの具合はどうですか?」
「このままいけば、明日にはここから出られるかと」
「そうですか。それは良かった」
足音が近づき、声がカーテンのすぐ向こうから。
「マヤ、起きてるか?」
「はい、どうぞ」
カーテンが引かれると、背の高いミケの姿でマヤの視界はいっぱいになった。
「分隊長、お久しぶりです!」
「あぁ」
ベッド脇の丸椅子に腰をおろす。
「順調に回復しているようだな」
「はい。このとおりです!」
マヤはぐるんぐるんと両腕をまわしてみせる。
「はは、本当に元気そうじゃないか」
「そうなんです。早く訓練したいです」
「それは頼もしいな。俺もお前には早く復帰してもらいたい」
どうして? といった顔で自身を見上げてきたマヤに、ミケは正直に話す。
「マヤ、お前がいないから執務室がひどい状態になってる」
「え!?」
「机の上がぐちゃぐちゃだ」
「………」
マヤは執務を手伝ってほしいと言われて執務室を訪れたときの散らかり具合を思い出した。
「治り次第、片づけに行きますね…」
「そうしてくれ。それでなくても壁外調査の後は書類仕事が多くてかなわん」
「……すみません。忙しいときにこんなことになって…」
しゅんとするマヤに、ミケは慌てた。
「すまん、そういうつもりじゃないんだ。俺の方こそ、おまえがこんな目に遭って責任を感じている。悪かったな」
「いえ…」
「さっき、早く訓練がしたいと言っていたが…、大丈夫なのか?」
その問いに不思議そうな顔をするマヤ。
「……はい。骨折はしてなかったし、大丈夫ですよ?」
「いや、そうではなくて…。その、怖くはないのか?」