第18章 お見舞い
「兵長、モテるもんな! 男の俺から見てもかっこいいしよ、女だったらやっぱ惚れるよな?」
オルオがちらちらとペトラを見ながら探りを入れている。
……ふふ、オルオったらやっぱり兵長のことをペトラがどう思ってるのか気になるのね。
微笑ましく思いながら、マヤは二人の様子を見守る。
「そりゃそうよ! 兵長に対抗できる人なんて団長くらいじゃない? マヤだって最初は兵長にも団長にも興味ないって言ってたくせに、今じゃ兵長派だもんね!?」
「え! ペトラ、何を言ってるの!」
慌てるマヤに、オルオも驚いた顔を向ける。
「マヤも兵長が好きなのか?」
「ち、違うから!」
真っ赤になっているマヤをペトラがからかう。
「ほら~、もう忘れたの? 兵長派代表を譲ってあげてもいいって私、言ったよね?」
「……憶えてるよ。でも兵長派とかそういうのじゃなくって、思ってたより話しやすい人だってわかっただけだから!」
「あ~、それあるよな! わかるわ。俺も最初は兵長ってすごすぎて近寄りにくかったけどさ、リヴァイ班に入れてもらって考え変わった」
同意してくれたオルオにほっとする。
「まぁね~、兵長は一見冷たいようだけど、すごく部下思いだもんね。私もリヴァイ班に入ってからそういうところがますますファンになった」
「そそ、それそれ。今回のマヤのことも、部下思いの表れだよな! あそこまで部下を大事にしてくれる人もそうそういないんじゃね?」
「だね~」
………。
部下思い。
……そう、そのとおり。兵長は部下を大切にする部下思いの人。
だから何も特別なことはない。
相手が誰であっても、同じことをした。
巨人から救い、抱き上げて運び、夜通し付き添う。
私は兵長にとって特別でもなんでもない、ただの部下。
ペトラとオルオのやり取りを遠くに聞きながら、マヤの胸はちくりと痛んだ。