第18章 お見舞い
「リヴァイ兵長だからやってもらいたいんじゃない。あ~、いいなぁ マヤは…」
ペトラにため息をつかれながら顔をじっと見られ、あははと苦笑いするしかない。
「でもペトラ、私全然覚えてないんだし、やってもらってないのと一緒なんだからね?」
「まぁそうなんだけどね。でもみんなが見てるし、あの兵長が抱きかかえてたっていう事実は間違いないからなぁ。あ~、うらやましい」
ペトラの言った “みんな” が妙に気にかかる。
……ハンジさんと、ペトラたちだけじゃないの?
「……みんなって?」
「ん~? みんなはみんなだよ? スペリオル村に帰ったときも兵長がマヤを馬に乗せてるところを見張りのみんなが見てるしさ、次の日帰るときも荷馬車に乗せるの、部屋から兵長がお姫様抱っこして連れてったんだもん」
「……えっ!」
「帰還したときは非常事態だったし誰も何も言わなかったけど、さすがに次の日のは結構ざわざわしてたけどね、特に新兵の子たちに」
「………」
唐突に脳裏に浮かぶ壁外調査の前夜の食堂で兵長に告白するんだと、きゃあきゃあ騒いでいた新兵の女の子たち。
……恥ずかしいだけじゃない…。兵長のことを好きな人たちに変な目で見られちゃう。どうしよう…。
青くなっているマヤにペトラがいち早く気づく。
「あ! もしかしてマヤ、やばいことになったって気にしてる?」
「うん…」
「大丈夫だって! それこそ緊急事態だったんだから、多少ざわざわしても、それ以上は誰も何も言わないと思うよ?」
オルオもペトラに加勢する。
「ペトラの言うとおりだって。気にすんな!」
「うん、そうだよね。なんかごめん、変なこと気にしちゃって」
「いやいやそんなことないよ! 兵長とあんな風にかかわったら色々と気にかかって当然だよ」
笑いながら励ましてくれるペトラに勇気づけられた。