第18章 お見舞い
「……それは…」
オルオがここに来たときにペトラと話していたことは…。
……リヴァイ兵長にお姫様抱っこしてもらったこと。抱き合って馬に乗ったこと。どちらも昏睡状態だったから知らないうちに!
思い返すだけで顔が赤くなるのが自分でもわかる。
言いよどんでしまったマヤに代わり、ペトラが答えた。
「マヤが巨人にやられそうになったときの話よ。ほら、兵長が抱きかかえて帰ったでしょ?」
「あぁ、あれな! すっげーかっこよかったよな!」
「マヤが恥ずかしがるから、なんで?って言ってた訳よ」
「へぇ…」
「意識なくてぶっ倒れてるんだから仕方ないじゃんね!?」
「まぁ…」
微妙な感じの相槌を打っているオルオにマヤは訴えた。
「仕方ないのはわかってるけど恥ずかしいものは恥ずかしいんだもん!」
ペトラとマヤの両方の顔を見比べていたオルオは、ごほんと咳払いをした。
「どっちもどっちじゃね? 場合が場合だったから仕方がないっていうペトラの意見ももっともだし、それはわかってるけど恥ずかしいマヤの気持ちもわかるしよ…。まぁアレだな! あのときあの場で兵長がマヤを連れていくのは自然な流れだったし、抱き方も様になってたし…、あれなんて言うんだ? こう横向きに…」
横抱きのジェスチャーをするオルオにすかさずペトラが。
「お姫様抱っこ!」
「へ~、そう言うんか… アレ。なんか言葉にすると恥ずかしいのな」
「でも女子の憧れだよ! 私も一度でいいからお姫様抱っこされたい!」
鼻をふくらますペトラ。
「……お前がどうしてもって言うなら、やってやらんこともないけど?」
少し頬を赤く染め小声でつぶやいたオルオは、次の瞬間には玉砕した。
「はぁ? 気持ちの悪いこと言わないでよ! 誰がオルオなんか!」