第18章 お見舞い
「近づいていって巨人が倒れてるって気づいた途端に、巨人が仰向けになって腕を伸ばしたのよ。そのときに兵士の誰かが立体機動で飛んだのが見えて… それがマヤだった…」
ペトラは一旦言葉を切ると、再びマヤをじっと見つめながら話し始めた。
「やっと駆けつけたときにはマヤは巨人に掴まれていて…。そのとき兵長が “俺が殺るから手を出すな” と叫んだかと思ったらもう飛んでいて、マヤを掴んでる巨人の腕を斬り落としてた。その勢いのまま上から回転斬りでうなじを削いで倒したのよ!」
話しているうちにペトラは、そのときのリヴァイの稲妻の速さで仕留めた勇姿を思い出しヒートアップしてきた。
「もうほんっと一瞬でさ! 馬に立ってブレードを抜いてからの流れるような動き! ただ飛んだだけに見えるのに確実に狙ったところを削ぐ鮮やかさ! しびれるわ! でさ…」
興奮してまくし立てていたが、マヤの顔色が少し悪くなっていることに気づいた。
「あ、ごめん! 思い出したらキツいよね? このへんでやめとこうか?」
「ううん、大丈夫。……知りたいの。話して?」
そう微笑んだマヤに、ペトラも笑い返した。
「わかった。……でね、巨人を無駄な動きひとつなく完璧最速で倒したら、すぐに落ちたマヤに駆け寄ったのよ。もちろん私たちも。巨人の腕がクッションになって地面に衝突したときの衝撃をやわらげたんだろうね、マヤはなんの怪我もなくただ目をつぶってるだけに見えたわ。だから多分すぐにマヤが起き上がると思ってた。なのに兵長が呼びかけても反応が全然なくってね…、すぐに村に帰ることになったんだ」