第18章 お見舞い
夕食は芋と人参がごろごろ入ったシチューにパン。
温かいうちにいただこうとシチューを口にすれば、優しい味が広がる。
……美味しい。
夢中で食べ、半分ほど減ったところでパンを手に取った。いつもどおりに一口大に千切って口に運ぶ。
……相変わらず、硬い。
もぐもぐと噛みながら、マヤは鼻がつんとしてきた。
具は質素かもしれないが美味しい味つけの温かいシチューに、いつもどおりの硬いパン。
調査兵団の食堂の味。
……私、本当にちゃんと生きて帰ってきたんだ…!
生を実感すると、涙が出てきた。
ぐずぐずと鼻をすすりながら食べれば、パンが塩味になる。
マヤは涙をぬぐうと、水を飲んで気持ちを落ち着かせた。
……泣いている場合じゃないわ。
私は生きて帰ってきた。早く傷を治して、また戦わないと。
そのためには、しっかりと食べなくっちゃ!
泣きやんだマヤは、よく噛みよく味わって食事を終えた。
「ごちそうさまでした」
手を合わせて、さて食器をどうしよう…、自分で片づけに行っていいものか…。いや安静にしなくちゃいけないんだから駄目よね…? と逡巡していると、アウグストがやってきた。
「食べ終わったか?」
カーテンの向こうから声をかけてくる。
「はい。ごちそうさまでした」
シャッとカーテンが開き、アウグストがマヤを褒めた。
「ふむ。綺麗に平らげたな。よしよし」
「久しぶりに食べたごはんは美味しくて、懐かしくて、おなかも気持ちもいっぱいになりました」
「それは良かったな。……この調子できっちり食べて早く治せよ」
「はい」
マヤは大きくうなずいた。