第18章 お見舞い
「包帯を巻くから、服を脱いで腕を上げて」
「はい」
湿布の上から、くるくると包帯を巻き始めた。
「腕はなんの問題もなく上がってるな…。これでよし!」
ぶつぶつとつぶやきながら巻き終えると、アウグストはにかっと笑った。
「では服を着といてくれよ」
そう言い残すと、余った包帯を置きに立ち去った。
今度はブラウスを羽織るのではなく、きちんとボタンを留めて着たマヤは “いよいよ歩けるかどうか…ね” と思い、ベッドに腰かける姿勢で待った。
「お待たせ。お!?」
あとは立ち上がるだけの姿勢でいるマヤにアウグストは目を細めた。
「やる気満々だな! よし、じゃあ立ってみようか」
「はい」
とんでもなく久しぶりに自分の足で立つ気がして、なんだか怖い気がしたが、いざやってみると拍子抜けするほど簡単に立ち上がることができた。
「ふむ。問題はなさそうだな…。では歩いてみようか」
「はい」
もしふらついたり、痛そうにする様子があったなら即座に手を貸そうとアウグストは身構えるが、マヤはなんの問題もなくすっと歩いた。
「アウグスト先生、普通に歩けます!」
嬉しそうなマヤに、アウグストも大きくうなずいた。
「ふむ。痛みや違和感などはないんだな?」
「はい、全く何もないです」
「よし。じゃあ戻って」
ベッドにマヤが戻ってから。
「では数日間、ここで安静だ。便所は自由に行っていいが、それ以外は大人しくしていろ」
「はい」
「食事は運んでやる。訓練などは休むことになるが上への… 直属の上司は…」
「ミケ分隊長です」
「ふむ…、ミケか。ミケにはわしから伝えておくから何も気にせずゆっくり静養しろ」
「わかりました」