第18章 お見舞い
「……という訳で二、三日ここで安静にしてもらう」
「はい」
「おっとその前に、わしとしたことが!」
「………?」
ぱちんと自身のごま塩頭を叩いたアウグストを、マヤは不思議そうに見た。
「マヤ、歩けるのか?」
意識を取り戻してから歩いていない。マヤはこう答えるしかなかった。
「わかりません」
「ふむ。では今から湿布を貼るから、そのあとで歩けるかどうか試してみよう。ちょっと待っててくれ」
言い終わらないうちにアウグストは薬品棚の方に行ってしまった。
待っている間、マヤはもぞもぞと足の指に力を入れてみる。
……そう言われたら歩けるかどうかなんて全然考えてなかったわ。
脚もやられていたら非常に困る。今のところは痛みを感じてはいないけれど…。
マヤは足の指を思いきりひらいたり閉じたりしてみた。問題なくできる。
……大丈夫… かな?
そうこうしているうちにアウグストが戻ってきた。
「ではまず湿布を貼るよ? 少しひやっとするから」
ぺたり。白い湿布を患部に貼った。
「ひゃっ!」
思わず声を上げるマヤに笑いかける。
「言っただろ?」
「はい。でも、こんなに冷たいとは思わなかった…。スースーします!」
「ははは、ハッカ油をふんだんに使った特製湿布だからな!」
笑いながらも手際よく数枚を貼り終える。
「痛みのある患部の周辺にも貼っておいたから。これで炎症は治まってくるから痛みもひくはずだ。合わせて鎮痛剤も出すから、すぐに良くなる」
「はい、ありがとうございます」