第17章 壁外調査
「よし。じゃあ巻くけど痛かったら言うんだよ?」
手際よくマヤの胸部に包帯を巻きつけながら、ハンジはユージーンに声をかける。
「すまないね、ユージーン」
「はい?」
「いやね、別に君は衛生兵だし後ろを向いてもらう必要はない気もするんだけど…」
「はぁ…」
「あとでリヴァイが怖いだろ?」
「……そうですね」
ユージーンはクラバットをかけてやってくれと言ってきたときのリヴァイ兵長の顔を思い出していた。
「あの、ハンジさん? 兵長が怖いとは…?」
くるくると包帯を巻かれながらマヤは首を傾げた。
「マヤは気にしなくていいから! よし、できた!」
巻き終わったハンジは、ぱんと両手を叩いた。
「ありがとうございます。……気にしないでいいって言われても…」
納得していないマヤには見向きもせずユージーンにチェックを頼む。
マヤに腕の上げ下げをさせて包帯がずれないかを確認したユージーンはOKサインを出した。
それを見たハンジはマヤにブラウスを着せてから、部屋の外に出されていた面々を呼び戻した。
そこまで回想したマヤは無意識のうちに声に出していた。
「……兵長の何が怖いんだろう?」
「起きたのかい?」
「ひゃっ」
回想に夢中になっていたマヤは突然降ってきた声に驚いて、変な声を出してしまった。
上半身を起こし声のした方向を見ると、ユージーンがにこやかに笑っていた。
「ユージーンさん!」
マヤの寝かされていた荷馬車は、ユージーンが手綱を握る第三分隊第四班のものだったのだ。
「そろそろ薬が切れるころだとは思っていたんだ。どうだい? 気持ち悪くない?」
「大丈夫です」