第17章 壁外調査
礼を述べても、なおも出ていこうとしないリヴァイを不思議に思いつつ、マヤが顔を上げると。
椅子に座るリヴァイの瞳が、月明かりを受けて仄暗く青灰の光を放っていた。
白くきめ細やかな… まるで女性のような綺麗な肌にさらさらの漆黒の髪。深く果てしない夜の色の瞳が光る切れ長の目。
この世のものではないような…、ぞくぞくと身の震えを誘うような美しさ。
その妖艶ともいえる美に囚われていると、静かに。そっと諭すように声が低く。
「……俺はここでお前を見ているから」
「え?」
……なんで!?
眠るところを見られる… なんて予想もしなかった事態に、マヤはリヴァイ兵長の美しさに見惚れているどころではなくなってしまった。
「早く寝ろ…」
……寝ろと言われても、見られていたら眠れません!
もうすっかりパニック状態だ。
「あの… 兵長? ご心配はありがたいですけど…」
「遠慮は要らん。朝までついていてやるから安心して寝ろ」
……あ、朝まで!?
これははっきりと、お断りしないと。
……あ、でもどうしよう。言いにくい…。見られてたら眠れないとかそんなこと言ったら失礼… よね? せっかく心配して言ってくださってるのに…。
「でも兵長もお休みにならないと…。そんな椅子では疲れが取れませんし。どうかベッドで…」
なんとか言葉を変えて退室をそれとなくうながしてみる。
「一日や二日、眠らなくても全く問題ねぇし、それに…」
リヴァイは極めて真面目な顔で言いきった。
「そもそもここは、俺の部屋だ」