第17章 壁外調査
「はい、わかりました」
素直に返事をするマヤの頭を、ぽんぽんと叩きたいような衝動に駆られるがぐっと我慢をする。
「……ランプはどうする? 消そうか? それともつけておいた方がいいか?」
巨人に襲われたばかりで恐怖心はそう簡単には消えないはずだ。少しでも明るい方がいいかもしれない。
リヴァイはそう考えた。
「……消してください。すみません」
マヤは少し迷ってからそう答えた。
これから広い部屋に一人になると思うと、暗い部屋は少し怖い気もするが…。幸い月明かりも窓からさしこんでいることだし、大丈夫だ。
「わかった」
リヴァイはすっと立ち上がって背後の壁のランプの灯りを消した。
マヤには、ふっと火の消える音が聞こえた気がする。途端に金色の温かな光は消滅し闇と入れ替わった。ただ窓辺は月の光で意外と明るい。
ランプを消したリヴァイが、ベッドの脇に置かれた小さな背もたれのない椅子にどかっと座る。
………?
灯りを消したあとは当然、リヴァイ兵長は扉に向かい部屋を出ていくものと思っていたマヤは訳がわからない。
「……あの…」
「どうした。やはりランプはつけておいた方がいいのか?」
「いえ… そうじゃなくて…。あの、もう大丈夫ですから兵長もお部屋に帰って寝てください」
「………」
何故か黙っているリヴァイの真意がわからず、マヤはあたふたしながらつけ加えた。
「付き添ってくださって、ありがとうございました」
リヴァイ兵長がいつから付き添ってくれていたかわからないけど…。ハンジさんと交代で様子を見てくれていたのかな?
確かなことは、リヴァイ兵長の手の温かさが、私を呼ぶ声が… 私を目覚めさせてくれたこと。