第17章 壁外調査
「手をこう… 翼のように広げて…」
実際に自身の両腕を空を舞う鳥のごとく広げてみせるマヤ。
「地響きを上げて走ってきました… 二本足で」
「おぉ!? まるで怪鳥だね?」
「そうですね…。飛べない鳥が大地を爆走しているようでした」
「……なるほど。実に興味深い…。それで?」
いよいよ語られる討伐の様子に、ハンジは興味津々だ。
「ミケ分隊長とタゾロさん、そして私が実行部隊です。ジョニーとダニエル…」
マヤはかたわらに立っている二人をちらりと見ながらつづける。
「そしてギータの三人は援護待機を命じられました」
「うんうん、それで?」
「おとり役の私は奇行種にアンカーを突き刺し、顔の周りを飛んで…。タゾロさんがその隙に足を切って倒して。分隊長がうなじを削いで仕留めました」
「そっかぁ! セオリーどおりに倒したんだね!」
顔を輝かせているハンジに、ジョニーも声も弾ませて話しかけた。
「ハンジ分隊長! ミケ分隊長もタゾロさんもマヤさんも、すっげーかっこよかったです! マヤさんのおとりなんか鳥が飛んでるみたいに自由自在に右に左に…、な?」
横のダニエルに同意を求める。
「そそ、奇行種は怪鳥タイプだったかもしれねぇっすけど、マヤさんは小鳥のようで、すごかったっす!」
「ちょっと! ジョニーもダニエルも…!」
顔を赤らめて恥ずかしがるマヤに、ハンジが上機嫌で笑いかけた。
「いやいや、照れることないよ! やっぱ私が見込んだとおりにマヤはおとり役にピッタリなんだね! そうやって予行演習も済んでるなら、明日の巨人の生け捕りのおとり役はバッチリだね!?」