第17章 壁外調査
直径が二メートルほどある大きな深井戸で、底をさらっているモブリットともう一人の兵士の姿が豆粒のように見える。
「……結構、深いですね…」
怖そうな様子でつぶやくマヤに、
「三十メートルほどあるからね!」
と言いながらハンジも一緒に井戸を覗く。
「おーい! モブリット!」
呼ばれた井戸底のモブリットが顔を上げた。
「マヤとジョニーとダニエルが、応援に来てくれたよ!」
眩しそうに見上げていたモブリットは、ハンジの隣にひょっこり顔を出しているマヤら三人を確認すると右手を振った。
「モブリットさん、頑張ってくださーい!」
マヤが手を振り返しながら声をかけると、ジョニーとダニエルもそれぞれ、モブリットさん! 男は根性です! ガッツです!と応援する。
「ありがとうー!」
モブリットの声が井戸の壁で反響しながら上がってきた。
「さて…」
井戸から離れたハンジがマヤの両肩をがしっと掴んだ。
「聞いたよ…!」
「……はい?」
見上げたハンジの瞳には、興奮を隠しきれない色がド派手に浮かんでいる。
「奇行種に遭遇したんだってぇ!?」
「あぁぁ…、はい」
「どんな子だった? 大きさは? 歩行タイプは? どうやって仕留めたんだい? とどめを刺したのはやっぱミケかい?」
掴んだマヤの両肩を、ぐわんぐわんと前後に揺さぶりながら矢継ぎ早に質問する。
「ハ、ハンジさん…! 痛いです…」
「ごめんごめん!」
ハンジはパッと両手を肩から離した。
「えっと… そうですね…。7m級で…」
マヤはあごに手を当てて、ゆっくりと話し始める。