第17章 壁外調査
「バッチリかどうかは… わからないですが…」
マヤが自信なさげに答えるかたわらで、なぜかジョニーとダニエルが得意満面な笑顔を見せる。
「ハンジさん、マヤさんはこう言ってますけどバッチリですから!」
「そそ、巨人でもなんでもいつでも来やがれ!」
二人の新兵の力強い言葉に、ハンジは目を輝かせる。
「それは頼もしいねぇ! マヤ、期待してるよ! ジョニー、ダニエルもありがとうねぇ!」
「「「はい!」」」
三人は声を合わせる。そしてマヤがきりりと表情を引きしめた。
「ハンジさん! 私、おとり役… 頑張ります!」
「うんうん、その意気だよ!」
ハンジはグッと親指を立てた。
「それじゃあミケに伝えてくれ。水は30分後には汲めるようにしておくからと。それから村の西の外れに大きな農具小屋があって、そこに桶がたくさんあったよ」
「了解です。桶はいくらでも要るので、そこのを使いますね」
「そうしてくれ」
「失礼します」
マヤたち三人は頭を下げると、その場を去った。
馬繋場に帰る前にハンジが言っていた農具小屋を目指す。途中で第二分隊の兵士たちが、宿営準備で村の家屋に出入りしている様子を見ることができた。
皆、扉と窓を開け放して埃を払ったり水拭きをしている。
ひときわ大きな家から、ちょうど出てきたナナバと出くわした。
「ナナバさん! お疲れ様です」
「マヤ! それに…」
マヤの後ろにいる新兵二人を目にしながら言いよどむ。
「ジョニーです!」「ダニエルっす!」
元気良く自己紹介した二人に、ナナバは笑いかけた。
「ジョニーにダニエルだね。すまない、まだ新兵全員の名前が頭に入ってなくて…。でももう覚えたから!」
「「はい!」」
スラっとした美人のナナバに話しかけられて、二人はどことなく嬉しそうだ。