第17章 壁外調査
「今日の被害はお前が倒した奇行種によるものだけらしい。ここから近いし、遺体の回収には俺の班で行く。道案内に一人貸せ」
ミケが見張りと馬の手入れの割り振りを考えていると、背後から声がした。振り返らなくても匂いと声でわかる。
「タゾロ!」
ミケはタゾロを呼び寄せた。
「なんでしょう? 分隊長」
「リヴァイ班と遺体の回収に行ってくれ。被害はあのとき俺たちから見えていたあそこだけらしいから」
リヴァイ班と聞いて、タゾロはミケの巨体に隠れて姿が見えなかったリヴァイがいることを知った。
「はっ! 了解しました」
リヴァイはタゾロをじろりと睨むと、よろしく頼むとひと声かけてきびすを返した。タゾロは慌ててあとをついていく。
それを見送ったミケは、各班長を呼ぶ。
「第一班と第二班は夜まで馬の世話。第三班から第十班は見張り。三・四が東、五・六が南、七・八が西、九・十が北。夜間の警護は第一班と二班も加わる。交代人員の選別は各班長の采配に任せるが… 何か質問は?」
「「ありません!」」「「ないです!」」
それぞれに元気な声が飛ぶ。
「では、よろしく」
「「「了解しました!」」」
各班長が班員を連れて持ち場に散っていった。
第一班の班長でもあるミケは、少し離れたところにいるマヤたち第一班班員のもとへ。
「俺たちは馬の世話をする。夜間の見張りは、のちほどペアを決める」
「「「了解です!」」」
早速、馬繋場として使っている小麦畑へ足を向ける。
……やった! 馬たちのお世話!
マヤの足取りは嬉しさで軽くなった。
ぴょんぴょんと歩くマヤにミケは優しいまなざしを向けた。