第17章 壁外調査
駐屯兵団の援護班に巨人の討伐を任せ、調査兵団は隊列を崩さず突き進んでいく。
……お願いします! どうか死なないで!
マヤは迫りくる7m級に向かって宙を飛んだ援護班に対して、心の中で祈った。
きらり。
太陽の光を反射して援護班のひとりの顔が光る。
思わず見上げたマヤの瞳に映ったのは、陽光に煌めく銀髪の女兵士。きらりと光ったのは彼女の眼鏡だ。
空高く舞った彼女はそのまま垂直に降下し的確にうなじを削ぎ落とした。
その見事な腕に感心する。
……すごいわ!
隊列は進み、もうその援護班の女兵士の姿は遥か後ろになってしまったが、マヤは感謝とともに光る銀髪と眼鏡を心に刻んだ。
援護班の支援を受け、調査兵団の隊列は旧市街地を無事に通り抜けた。
振り返ると、トロスト区の壁がすでに小さくなっている。
……そろそろ… かな。
マヤの読みどおりに、エルヴィン団長の号令が響く。
「長距離索敵陣形を展開せよ!」
即座に隊列の前方から順に、扇状に広がり始めた。
最初は各分隊の複数班が固まって広がる。前進をつづけながら、各班単位でさらに扇形に隊列を展開していく。最終的には上空から見れば、前方に円弧があり、両翼が斜め後方に広がっている扇状の陣形である。