第17章 壁外調査
マヤに言われるまま前方に並み居る精鋭の勇姿を目にしたギータ。
傑物である団長に勇猛な兵長、頼りになる分隊長や先輩の兵士たち。
……そうだ、マヤさんの言うとおりだ。オレたちは信じて進むしかないよな。
そのことに気づけば、嘘のように不安な心も軽くなった。
ギータが礼を言おうとマヤの方を向いたときに、ちょうど聞こえてきた凜とした声。
「私だって、いざとなったらあなたを守るわ」
「………!」
すぐ隣の馬上で優しく笑っている小さな先輩が、とても頼もしくて、とても綺麗で…。
ギータは息が止まるかと思った。
今まで敬愛するマリウス先輩が特別に親しくしていた先輩としか認識していなかったのに。
意識した途端に、励ますために叩いてくれた背中が熱い。
かぁっと顔が赤くなるのを隠しきれずに、ギータはもごもごとつぶやいた。
「あ、ありがとうございます…、マヤさん…」
「うん、頑張ろうね!」
マヤがにっこりと笑いかけてきて、ギータがますます顔を赤くしたそのとき、出陣を見物に来ていた群衆の中から甲高い子供たちの声が飛んだ。
「兄ちゃん、見てー! リヴァイ兵士長だよー!」
「すげー! おい知ってるか? 人類最強なんだぜ!」
マヤとギータは思わず顔を見合わせた。
「私たちには人類最強がついてるんだもの。大丈夫よ!」
「そうっすね! マヤさん、オレ… もう平気っす」
「良かった。じゃあまた、あとでね」
微笑んで元の待機位置に戻ったマヤを、ギータはずっと見ていた。