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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第16章 前夜は月夜の図書室で


「誰かに守られていることが、強くなれる理由であってもいいじゃねぇか。それで… 仲間の死を乗り越えて… 壁の外に行く勇気が出るならば」

「………」

リヴァイのその言葉にマヤは黙ってうつむいた。

……兵長がそう言ってくれるのは嬉しいけど…、マリウスはもういないのに…。

気持ちと言葉が胸の中でぐるぐると渦巻いて、何をどう話せばいいかわからなくなる。

ただ、心に浮かんだ言葉を口にしてみるだけ…。

「……マリウスは死にました」

「そうだな」

「……もう、いないんです」

リヴァイからは、うつむいているマヤの顔がよく見えない。

だがどんな表情をしていたとしても、今強く心に湧き上がってきている想いを伝えると決めた。

「マヤ…、俺は死なねぇ」

「………?」

リヴァイの唐突な言葉に、思わずマヤは顔を上げた。

「……俺がなんて呼ばれてるか知ってるか?」

「じ…、人類最強…」

「そうだ」

リヴァイは肯定しながら、こんな瞬間がくるなんてと思っていた。

調査兵団に入り兵士長に就任したのち気づけば、“人類最強” だの “一人で一個旅団並みの戦力” だの好き勝手に言われて反吐が出そうだった。

そんなものは、なんの役にも立たねぇ。

実際には多くの… 家族同然だったあいつらも、信頼するようになった新しい仲間も皆が死んだ。

何が “人類最強” だ、“一人で一個旅団並みの戦力” だ。

そんな誉れは要らねぇ、要らねぇから… 命を返してくれ。

なんの役にも立たねぇ無意味な言葉。

……ずっとそう思ってきた。

だが今ここで、目の前にいるこいつを少しでも楽にすることができるなら。支えてやることができるなら。

くだらねぇと思っていた言葉も、意味を持つ。


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