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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第16章 前夜は月夜の図書室で


下を向いたままのマヤの声は震えている。

それを見て、この場を早く収束させることが彼女にとって最善だと判断する。

「……いいだろう。マヤに免じて今回は不問に付す」

ザックがほっと安堵の息を吐いた。

「その代わり、今夜この場所でのことは誰にも言うな」

「は、はい」

「それから任務以外で二度とこいつに近づくな」

「は、はい」

「誓え」

「ち、誓います。き、今日のことは誰にも言いませんし、マヤに近づきません!」

「よし…。とっとと失せろ」

「はっ! し、失礼します!」

ザックは敬礼すると、脱兎のごとく退室した。

ばたん!と扉の閉まる音が響く。

リヴァイはソファの方へ戻ると、ペーパーウェイトを音もなくテーブルの元の位置に戻した。

さて… どうすべきかとマヤを見やれば、根が生えてしまったかのように動かず… いや恐らく動けずにいる。

ゆっくりと近づくと、声をかけた。

「……もう大丈夫だ」

「……はい…」

消え入るような声。うつむいている顔色はうかがい知れない。

とても小さく見えるその様子にリヴァイの胸は痛む。

何か優しい言葉でもかけてやらねばと思うのに、実際には。

「言っただろうが。お前は隙だらけだと」

冷たく響くその声に、マヤの肩はびくっと反応した。

「今だって俺がいなければ…」

「申し訳… ありませんでした…」

リヴァイを見上げた瞳はあふれそうな涙でいっぱいだったが、決してこぼさないようにとこらえている様子がいじらしい。

……怖い思いをしたばかりなのに追いつめてどうする…。

自身の態度に顔をしかめ、リヴァイは窓の外の月を睨んだ。


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