第3章 調査兵団
「……見た目?」
マヤは団長と兵長を、必死で思い浮かべる。
「……うーん…」
「どう?」
「……団長が金髪で、兵長が黒髪ってことくらいしか思い出せないよ…」
マヤの情けない声に、アンネがふぅっとため息をつく。
「兵長のあのさらさらの黒い髪が、めっちゃセクシーなのよね…」
クレアがそんなアンネをキッと睨み、言い捨てた。
「金髪碧眼の方がセクシーでしょ! マヤ、他には?」
マヤは眉根を寄せて天井を見上げ、他にも何か二人の特徴を思い出そうと頑張る。
「あと…団長は大柄で、兵長は小柄?」
「うん そうだね」
クレアが大きくうなずいた。
「やっぱ男は大きい方が、かっこいいよね!」
その言葉にペトラが噛みつく。
「兵長は背は低いかもしれないけど、誰よりも強いんだからね!」
マヤは、睨み合う二人の顔色をうかがう。
「……あのぉ… 私 金髪でも黒髪でも、大きくても小さくても… どっちでもいい…」
マヤのその返答を受けてペトラが、
「見た目は五分五分ってことね。……もう第一印象で決めよう。どう、クレア?」
と、クレアに自信満々な様子で問う。
「第一印象って団長有利だけどいいの?」
クレアが答えると、ペトラは目を丸くした。
「はぁ? 第一印象なら陰のある兵長が有利に決まってるじゃない」
「よしっ! じゃあ、第一印象勝負ね!」
ペトラ、クレア、アンネが一斉にマヤの方を向いた。
「マヤ、団長と兵長の第一印象はどっちが良かった?」
……第一印象…。
マヤはまず、エルヴィン団長の第一印象を思い返す。
「えっと… 団長は… 力強く演説していて… 立派で、この人についていけば間違いないって感じたかな…」
マヤの答えにクレアはパッと顔を輝かせる。
「そうそう、そうよね! マヤ、わかってるじゃん!」
ペトラが顔をしかめる。
「クレア、黙ってて! じゃあ、兵長の第一印象は?」
……リヴァイ兵長の第一印象…。
「兵長は… 団長が演説しているときに後ろでつまらなそうに腕を組んでいて…、なんのためにいるの? よくわからない人だなって思った」
その言葉にクレアはガッツポーズをし、ペトラとアンネはガックリとうなだれた。