第3章 調査兵団
「マヤ! 一緒に団長派として頑張ろうね!」
満面の笑みのクレアに、マヤは苦笑いをしながらうなずいた。
うなだれていたペトラが顔を上げたかと思うと、マヤの手を握った。
「マヤ… いつでも兵長派に乗り換えてかまわないんだからね?」
「う、うん…」
そのときアンネが、声を上げた。
「ねぇ! そろそろ時間じゃない?」
「あっ、ほんと! 新兵が新兵歓迎会に遅れちゃ話にならないわよ」
……こうして四人の娘は、キャッキャッと夜に部屋に集まっては団長がああだ兵長がこうだとおしゃべりに興じた。
といっても…、真の団長派ではないマヤは、皆の話を微笑みながら聞いているだけだったが。
そしてあっという間に一か月が経ち、初めての壁外調査を迎えた。
アンネが呆気なく、巨人に食われて命を落とした。
そしてその次の壁外調査で、クレアも帰らぬ人となった。
エルヴィン団長の考案した長距離索敵陣形が功を奏し、大幅に死傷者が減ったとはいえ、やはり巨人と遭遇すれば被害は免れなかった。
団長が新兵勧誘式で口にしたとおりに、壁外調査をおこなうたびに調査兵の数は減りつづけた。
マヤが調査兵団に入団してから一年あまり…、112名いた101期生は30名を切っていた。