第3章 調査兵団
「えぇぇ…」
クレアに勝手に団長派にされたマヤは、眉を八の字にした。
「あの… クレア? どうして私… 団長派なの?」
クレアはニヤリと笑った。
「それはね…、マヤが団長派になってくれたら、二対二で兵長派と対等になるでしょ?」
「あぁ… なるほど…」
「ねっ マヤ、一緒に団長派になろうよ! ルームメイトじゃない」
「うん… じゃあいいよ、団長派で…」
「ちょっと待った!」
ペトラがマヤとクレアの会話に割りこんだ。
「マヤ、駄目よ 情に流されたら。ちゃんとマヤがいいなと思う方の派閥に入って!」
「は、派閥なの?」
なんだか話が大きくなっている。
「マヤ! ちゃんと考えて!」
ペトラがめらめらと瞳の中に炎を燃やしている。
その迫力にたじろぎ、マヤは素直に返事をした。
「……はい…」
マヤはペトラに命令されたとおりに、考え始めた。
……といっても…、エルヴィン団長もリヴァイ兵長も、新兵勧誘式と今日の入団式の壇上で見かけただけだ。
団長は雄弁で、大層立派な感じがした。
兵長は無関心な様子で腕を組んで、そっぽを向いていた。
たったこれだけの情報で決められない… というか立派な団長一択なのか?
「……うぅぅ…」
眉間に皺を寄せてうなるマヤに、ペトラが訊く。
「どう? 答え出た?」
「あの… 私 お二人を新兵勧誘式と今日の二回しか見たことがないんだけど、みんなは違うの?」
クレアが答えた。
「うん そうだよ。新聞で読んだり噂は聞いたことはあったけど、直接見るのはその二回だよ」
「えぇぇ… それでどうしてそこまで、好きとかかっこいいとか思うの?」
アンネが眉を高々と上げた。
「そんなの決まってるじゃない。リヴァイ兵長が、それだけかっこいいからよ!」
「そうそう!」
ペトラも激しくうなずく。
クレアも負けじと、かっこいいのはエルヴィン団長の方だからね!と叫んでから、マヤに新たな質問をする。
「じゃあさ マヤ、見た目はどっちがタイプなの?」