第3章 調査兵団
「ねぇねぇ、マヤは団長と兵長、どっち派なの?」
ペトラが、急に話題を振ってきた。
「え?」
「ほら、団長か兵長かどっちかでしょ? 普通」
「……兵長?」
「やだ… リヴァイ兵長知らないの?」
ペトラはその大きな目を、ぱちくりとさせた。
「……あぁ リヴァイ兵士長。知ってるけど…、兵長って?」
「正式には兵士長だけど、みんな兵長って呼んでるのよ」
「……そうなんだ。知らなかった」
マヤは恥ずかしそうに笑った。
「……で、どっちなのよ?」
今度はクレアが訊く。
マヤの顔を覗きこむクレアとペトラの勢いに、マヤはたじたじになる。
「どっちって言われても…」
「私とアンネは断然! 兵長派なの。ねっ、アンネ?」
ペトラが同意を求めると、アンネも鼻息を荒くして応じた。
「うん! リヴァイ兵長、めっちゃかっこいい! 素敵よね~!」
「ちょっと待った!」
クレアが割って入る。
「真の男前は、エルヴィン団長でしょ!」
興奮した三人娘が、マヤに詰め寄ってきた。
「マヤは団長と兵長、どっちが好きなの?」
「……別に どっちも好きじゃないけど?」
「「「えええええっ!」」」
マヤ以外の三人娘が一斉に叫ぶ。
「なんで!?」
ペトラが叫ぶと、クレアがわかった!と膝を叩いた。
「マヤ、あなた彼氏がいるんでしょう!」
マヤは思いがけないクレアの言葉に、首をぶんぶん振った。
「いないいない!」
「じゃあ、どうして?」
アンネも不思議そうに訊いてくる。
「ちょっと待って、みんな!」
マヤは少し大きな声を出した。
「私は団長でも兵長でも、どっちでもないから。それでいい?」
マヤがそう結論づけると、ペトラは嘆く。
「いやいやそれ、女子として絶対おかしいから」
アンネはマヤを疑わしそうに見ながら、
「絶対彼氏いるな… うん、そうに違いない」
と、決めつけた。
そしてクレアは不敵に笑った。
「じゃあ、マヤは団長派ってことで決まりね!」