第15章 壁外調査までのいろいろ
その声に思わずハンジの顔を見上げると、眼鏡の奥の少し赤みを帯びた茶色の瞳がきらりと輝いていた。
「……いや、俺はいい」
ハンジの強い視線から逃れるように、ぼそっとつぶやく。
「遠慮しなくていいんだけどな。本当はリヴァイも参加したいんだろう?」
「……別に」
「またまた~! 素直じゃないねぇ! リヴァイも捕獲班に入りたがってるのはわかってるんだよ?」
「は?」
「本当ならばマヤみたいに純粋に巨人の生け捕りに熱意を捧げてほしいけど、贅沢は言っちゃいられない。理由はなんでもいいんだよ! ミケみたいに巨人生け捕り支持者のフリして実はマヤが心配なだけってのも全然アリだからね!」
ハンジの無茶ぶりに今度はミケが声を荒らげた。
「は? 俺は別に…!」
「いいよいいよ言い訳は。全部お見通しだからね。可愛い部下が心配なのは当然のことさ。ミケが神妙な顔で捕獲班には俺も入ると言ってきたときには、すぐにぴんと来たよ! だから表向きは生け捕り支持者ってことにしておくからね」
「………」
ミケは黙ってしまい、ミケの隣でずっと眠そうにしていたラドクリフが大笑いした。
「ははは! ミケもハンジにかかっちゃ形無しだな」
愉快そうなラドクリフに、にっと笑みを送るとハンジは再びリヴァイを誘う。
「リヴァイ、生け捕り支持者でも単にマヤが心配でも… 理由なんてなんでもいいからさ、加入してよ。リヴァイとミケの両雄が揃えば、これ以上に心強いことはないんだけどなぁ!」
リヴァイは捕獲班に入る気などないと言いかけたが、エルヴィンの声が先に会議室に響いた。
「ハンジ、リヴァイの編入は認められない」