第15章 壁外調査までのいろいろ
リヴァイは “ミケ班” に反応したに違いない。正確には “ミケ班” に含まれる兵士のひとりにきっと…。
そう想像をふくらませると思わずエルヴィンは内心の笑みが表に出てしまいそうになったが、澄ました顔で返答した。
「リヴァイ、昨日配った書類に記載してあるが?」
「それなら確認した。確か “メンバーに変動あり” とあったが、ミケのところとは…」
眉間に皺を寄せているリヴァイに、真向かいに座っているハンジが語りかけた。
「リヴァイの疑問も、もっともだよ! しかーし! ついに巨人生け捕りが壁外調査の王道となる日が来たのさ!」
興奮のあまり立ち上がったハンジは熱弁をふるう。
「私が常日頃説いていた、巨人の研究探求考察究明こそが真理への近道なり! そしてそれを実現させるには生きたままの巨人捕獲が絶対条件! この熱くて世にも美しい理論に心より深く賛同する熱烈な志願者の出現! その貴重な人物の名は…」
すーっと息を大きく吸いこむと、両方のこぶしで机をどんっと叩いた。
「マヤ・ウィンディッシュ!」
ハンジは自身の演説に酔いしれ、彼女にはめずらしくリヴァイの観察をすっかり忘れていたが、エルヴィンとミケは怠らなかった。
ハンジの口からマヤの名が出た瞬間に、すでに深く皺が刻まれていた眉間がぴくぴくと動いた。
それを目にしたエルヴィンとミケは、意味ありげに視線を交わす。
「さらに賛同者はつづく。マヤのみならずミケ! 君まで巨人生け捕りの支持者だとは知らなかったよ。あれかい? 今までは何か深い事情でもあって隠していたのかな?」
「俺は別に支持者でもなんでも…」
反論するミケを無視してハンジは叫ぶ。
「恥ずかしがる必要は全くないよ、ミケ! さぁ同志よ! ともに巨人を捕まえよう!」