第15章 壁外調査までのいろいろ
「そう、それ。研究で徹夜とかしょっちゅうらしいしね」
マヤが大きくうなずくと、ペトラもつづける。
「モブリットさんも文句も言わずに頑張ってるよね~!」
「ねぇ、モブリットさんが頑張れるのって…」
マヤとペトラは顔を見合わせながら声を重ねた。
「「やっぱりそこに愛があるからだよね!」」
見事に一致した意見に笑みを交わす二人。
「モブリットさんって、いつ見てもハンジさんと一緒にいるもんね」
ペトラも激しく同意する。
「そうそう、逆に他の人といるところを見たことがない!」
「モブリットさんは絶対にハンジさんのこと好きだと思うけど、ハンジさんはどうかな?」
マヤの問いにペトラはあごに手をやった。
「うーん、どうなんだろう…。ハンジさんって巨人にしか興味なさそうだし、そもそもモブリットさんのことを男として見てるかどうかも怪しい気がするわ」
「そうよね。でも私、二人とも大好きだからいつまでも一緒にいてほしいなぁ」
「わかる! あの二人が離れるところなんて想像できないわ」
「私たちが入団したときにはもう一緒だったからわからないけど、ハンジさんとモブリットさんの最初のころの出会いってどんな感じだったのかな?」
「そりゃ~まだうぶな新兵モブリットさんを、ハンジさんがガンガンこき使ってたんじゃない? それで気づけばモブリットさんはハートを鷲掴みに…ってあれ? モブリットさんっていわゆるマゾってやつ?」
「ふふ、ペトラったら!」
マヤは笑っていたが、ふと真面目な顔をする。
「でもモブリットさんの場合ね、そういうんじゃなくって… もっと深い大きな愛みたいな感じがするなぁ…」
「そうだね~。ハンジさん、いいなぁ! 私も大きな愛に包まれたいわ」
「ペトラはもう包まれてると思うよ」
「え~、誰に?」
「……内緒」
「まさか、オルオとか言わないよね!」
「さぁ?」
「やめてよ!」
二人の話題は完全にオルオに移った。彼の悪口をまくし立てながらもどこか生き生きしているペトラを微笑ましいと思いながら、マヤは耳を傾けた。
その後紅茶のお代わりを淹れ、久々に日付が変わるまでおしゃべりに興じた。