第15章 壁外調査までのいろいろ
マヤはしばらく何も答えなかったが、ゆっくりと口をひらいた。
「嫌いというか…、どうしようもなく怖くて、憎くて…。でも…」
「でも?」
「向こうも人間が怖いのかな? 憎いのかな? そう思ってる。それに巨人も生きてるんだからわかり合えたらいいのにって、そうしたらお互い殺し合わずに済むんじゃないのかなと思うの」
「巨人とわかり合える…? そんなことある訳ないじゃん! あいつらに理屈なんか通用しない。ただ襲ってくるだけ!」
声を荒らげるペトラに、マヤは申し訳なさそうに返す。
「……うん、もちろんそうなんだけど…」
しかし次に発した声は強いものだった。
「でも見かけどおりじゃないこともあるでしょ? もしかしたら巨人には巨人の理由があるのかもしれないし、それを知ることさえできたら共存できる可能性だってある。ただむやみやたらに戦っていても犠牲者が出るばっかりだもん。巨人を知ることが必要だと思う!」
そう言いきったマヤの目は輝いていて、ペトラはやれやれと首を振った。
「まぁ確かに一理あるわね。そりゃ私だって戦わずに済むならその方がいいし。マヤ、結構向いてるんじゃない?」
「ん? 何に?」
「決まってるでしょ! ハンジさんの巨人捕獲班! 今回だけなんてもったいない。いっそのことミケ分隊長のところからハンジさん直属に移籍した方がいいんじゃない?」
「あはは…。でも私が決められることじゃないし、ずっとミケ分隊長の下にいるから居心地いいしね。あっ もちろんハンジさんも好きだから直属になってもいいんだけど…」
何か含みを持たせた終わり方にペトラはすぐに感じ取った。
「モブリットさん見てるとね~! 大変そうだもんね、ハンジさんとこ」