第15章 壁外調査までのいろいろ
「へぇ… なるほどね。……なんで巨人の形のパンなの?」
「それは… 私がちょうどパンを食べてて、ハンジさんがパンが巨人の肉片みたいだって…」
「えぇぇぇ、気色悪い…」
顔をしかめるペトラに首を傾げるマヤ。
「え? そう?」
「そうだよ、巨人の肉片とか食べてるときに生々しい…。さすがはハンジさんだわ。マヤは平気だったの?」
「うん…、でも… そう言われれば気持ち悪い気もしてきた…」
「反応遅!」
眉を寄せたマヤの今更感にペトラは思わず素っ頓狂な声が出る。
「でもね、肉片とか言うから気持ち悪いけど…、ほらウサギパンの仲間だと思えば可愛いよ! ペトラも気に入ってたじゃない、ウサギパン」
ウサギパンとは街のパン屋で一番人気のウサギの顔の形をしたパンだ。中にとろりとしたクリームがたっぷりと入っている。
「ウサギパンみたいに巨人パンも可愛い顔の形にしたら、結構いけると思うんだけどなぁ…」
「マヤ…。ウサギは元が可愛いからパンにしても可愛いけど、巨人は可愛くないからパンにしたところで可愛くないと思うよ…」
「えっ、可愛い巨人もたまにいるよ? お目目のくりくりした子とか?」
「………」
黙ってしまったペトラのことは気にもかけずにつづける。
「もちろん憎たらしい顔の子が多いのは事実だけど…」
「“子” って、巨人に “子” って…」
ペトラはぶつぶつとつぶやいていたが、すっと真顔になった。
「マヤ、巨人が嫌いじゃないの?」
「ん? どうしたの急に」
「だって変じゃん、巨人が可愛いとか “子” 扱いするとか」
「………」