第15章 壁外調査までのいろいろ
「ほんと美味しいなぁ、このクッキー!」
「うん、美味しいから絶対ペトラにもあげようと思ったの」
……あれ? なんか他にもペトラに美味しいものを教えてあげようと思ってた気がする…。
そうだ! 月夜亭の葡萄酒!
「ねぇ、ペトラ。月夜亭の葡萄酒、飲んだことある?」
「葡萄酒? ないけど…。エールしか飲んだことない」
「……だよね。私もそうだったんだけどね、飲み会で飲んだ葡萄酒がすごく美味しくて! もうね、果汁そのまんまって感じで何杯でもいけちゃうの! もう絶対ペトラにも飲んでもらいたいって思っちゃった」
素晴らしく美味しかった葡萄酒のみずみずしさを思い出しながら目をきらきらと輝かせているマヤに、ペトラはひとこと。
「……それで飲みすぎちゃったって訳か…」
「あはは…、そうなんだけど…。でも飲みすぎないように気をつければいいんだから飲んでみて?」
「オッケー。じゃあ今度、一緒に月夜亭行こうよ」
「うん!」
にっこり笑ってうなずくマヤの顔を見ていたら、急に先ほど頭の中で作った “マヤに訊きたいことリスト” を思い出した。
……あれ? なんか他にもマヤに訊きたいことがあった気がする…。
そうだ! 巨人パン!
「マヤ! 訊くの忘れてた!」
「ん? 何?」
「ハンジさんが “今度の壁外調査が終わったら、巨人パンが君たちを待ってるから首を長~くして待ってるんだよ!” って言ってたんだけどさ、なんなの? 巨人パンって。捕獲班のメンバーなんだから知ってるでしょ?」
未知なる巨人パンに興味津々のペトラに、マヤは苦笑いで応じる。
「巨人パンは… そのまんま巨人をかたどったパンよ。無事に巨人を生け捕りにできたらマーゴさんに巨人パンを焼いてもらって、みんなに振る舞おうって話してたの」