第15章 壁外調査までのいろいろ
「それは…」
マヤは真剣に考えてみる。
すぐに答えは見つかった。
「私たちって分隊長のあの癖にすっかり慣れちゃってるけど…、よくよく考えたらすごく変じゃない?」
「……よく考えなくても変だけどね」
ペトラの突っこみを気にせずつづける。
「執務のお手伝いをするようになって二人きりの部屋で嗅がれたとき、最初は私もちょっと驚いたの。でも別にいつもどおりに嗅ぐだけだし…、なんだかそのうち慣れちゃって。でもやっぱり…、その… 兵長の言うとおりに分隊長も男性なんだし、変な行動はするなってことなのじゃないかな…?」
「まぁ… そんなところなのかね…」
ペトラも一応、その答えに納得した。
どこか違う気もするけれど、休憩時間に全く来なくなったらしいし、マヤが特別なら今も紅茶を飲みに足を運んでいるはず。
……やっぱり私の勘違いだったのかな…。
そう結論づけて話題を変えた。
「話変わるけど、今度の壁外調査で捕獲班に入るんだって?」
「そうなの! ハンジさんに頼まれちゃって…」
マヤは捕獲班編入へのいきさつを話した。
「へ~、それは災難だったね。でも急に捕獲班だなんて、裏に何かあるとは思ってたんだけどね」
「うん…。やると決まったからには頑張ろうとは思ってるんだけど、ちょっと不安…」
「だね。でもいきなりマヤに捕獲は任せないでしょ。補佐だろうから、いつもどおりやってりゃ大丈夫じゃない?」
「うん、そうよね。あっ、ミケ分隊長も入ってくれるから、それこそいつもの討伐だと思ってやってみるね」
「そうなんだ。それは心強いね、良かったじゃん」
「ありがとう」
ペトラは最後の一つのクッキーに手を伸ばし、マヤは両手に紅茶のカップを持って微笑んだ。