第15章 壁外調査までのいろいろ
あれこれと考えを巡らしていると、マヤの声が聞こえてきた。
「そうだね… 誰にでもそう言うってことは、やっぱり兵長の恋愛観はそうだったってことだよね…。なんかショックだな…」
ショックだと嘆くマヤを見て、ペトラは自分がさほど兵長の恋愛観にはもうショックを受けてはいないことに気づいた。
「マヤ、私… 変だ」
「どうしたの?」
「別に… ショックじゃない。あのときはショックだったのに… なんで?」
「……そうなんだ。どうしてだろうね…? もう兵長の恋愛観はそうだって覚悟ができてるってことなのかな? あ、それとも慣れたってこと?」
思いつくままに考えを口にしていたが、ふっとマヤは微笑んだ。
「でも良かった。ペトラがショックじゃなくて良かったよ…!」
「うん、ありがとう。自分でもびっくりだわ。きっと慣れたんだろうね」
……そう、慣れたのかもしれない。
それに馬鹿オルオのおかげで、馬鹿馬鹿しいのかも。
……そんなことより…。
「マヤはショックなんだ?」
「うん…。あれ、なんか変だね。ペトラは大丈夫なのに私がショック受けてちゃおかしいよね」
「まぁいいんじゃない? マヤは自分が思ってるよりは、兵長のこと好きってことなんじゃない?」
「そんなんじゃないと思うけど…。ただ… 兵長って思ってたより話しやすくていい人だったから…」
頬を赤くしているマヤをからかいたくなってくる。
「兵長派代表の座を譲ってもいいわよ」
「そんな…! 滅相もない!」
ぶんぶんと顔の前で手を振っているマヤに、さりげなく訊いてみる。
「ところでさ…、そもそも兵長はなんでマヤが分隊長に嗅がれていることに怒ったと思う?」