第31章 身は限りあり、恋は尽きせず
「……それ、ほんとか!?」
「……じゃないかな」
「そうか…」
オルオの声が少し震えている。
マヤがそっと隣に立つオルオの様子をうかがうと、感激で顔を赤くしていた。
……ペトラが俺のこと、ちょっとは見直した…?
とうとうこの日が来たか。
物心ついた日から苦節十ウン年…、ついに、ついに…!
「……オルオ? 大丈夫?」
気づけば、また目の前に琥珀色の大きな瞳が。
でも今度はその魅惑的な瞳に惑わされることはない。
「俺、頑張るわ。訓練も座学も掃除も壁外調査も何もかも…!」
「ん?」
急に謎の “頑張る宣言” をしたオルオを不思議そうに見ているマヤ。その視線に気づいて、照れた様子で頭をかきながら言葉を足した。
「頑張ったら、ペトラにもっと認めてもらえるだろ?」
「うん、そうだね」
「よしっ、飛ぶぞ! 今日こそはマヤに勝てる気がする!」
希望に満ちた顔で立体機動装置のトリガーをカチカチッと空引きしている。
「ふふ、どうかしらね」
「なぁ、手加減するなよ?」
「しないわ、勝負は別よ」
マヤもカチカチッとトリガーの感触を確認する。
「真剣勝負だからな! ロングで3秒、OK?」
気持ちがたかぶっているオルオは、巨人模型の広場を突っきって森の出口まで飛んでから折り返してくるロングコースを選択した。
「……了解」
下を向いてふうっと息を吐ききると、マヤはキリッと顔を上げた。
「行くわよ!」
掛け声と同時にトリガーを引き、ガスを勢いよく噴出すると森の奥深くへ瞬時に飛んだ。
「1、2、3!」
オルオもはやる心とともに飛び出した。
「今日はイケる気がする! マヤ、待て~!」
パシュゥゥゥッ!
オルオの立体機動装置のガスの響きが、森を駆け巡った。