第31章 身は限りあり、恋は尽きせず
……リヴァイ班だけが気づくレベルだったら、大丈夫かな…。
リヴァイが嬉しそうにしているとオルオに指摘されて恥ずかしく思ったマヤだったが、それがリヴァイ班限定でわかるものなら大丈夫な気になってくる。
「まぁとにかく、兵長には一生ついてくつもりだから俺は」
「……えっ?」
考え事をしていてオルオの言葉を聞き逃す。
「あんな強くて元々尊敬してたけどさ、マヤとつきあってから人間味も出てきて最高の男だろ? 兵長って。だから俺は一生ついてくし、嫌われたくねぇからマヤとは飛ばねぇって言ってんの」
「兵長はそんなことでオルオのこと嫌ったりしないわ。大丈夫だから、これからも飛ぼう? 兵長には私からお願いしておくわ、ね?」
大きな琥珀色の瞳でのぞきこんでくる。
ペトラのことしか眼中にないオルオも思わずドキッとしてしまった。
「そ、そんなにマヤが俺と飛びたいなら仕方ねぇか…」
「だってずっと一緒に自主練してきたんだもの」
「……それはそうだな」
気持ちの仕切り直しに、ごほんと軽く咳払いしてから。
「なぁ、飛ぶ前に…。ちょっと気になってることがあるんだけど」
「なぁに?」
改めて訊かれると少々気恥ずかしいが、オルオは思いきって言ってみる。
「ペ、ペトラがよ…、なんか最近変なんだ。心当たりある?」
心当たりなら大ありだが、とりあえずは探りを入れる。
「変って?」
「なんて言えばいいか…。いつもだったらガミガミ怒鳴ってくるだろうな~ってときに全然怒鳴ってこないんだ。こっちはいつもどおりに身構えていつでもやってやろうって思ってんのに拍子抜けするっていうか。どうしちゃったんだ、あいつ?」
「う~ん…」
ペトラの心情の微妙な変化を丸ごと話す訳にはいかないし、どこまで伝えたらいいのか、どう話せばいいのかとマヤが考えていると。
「それによ、エルドさんもやたら俺たちをセットにしたがるんだよな…。一体なんなんだよ!」
オルオの鼻息が荒いので、逆に訊いてみる。
「嫌なの?」
「嫌じゃねぇけど…。調子狂うっつうか」
「そうだよね…。ん~、ペトラもきっと少しずつだけど、オルオのいいところをわかってきたんじゃないかな?」
曖昧な、抽象的な、何も決定的なことは言っていない言葉だけれども、オルオには充分だった。