第31章 身は限りあり、恋は尽きせず
ペトラのまたもや直球ストレートな言葉に、マヤの顔は即座に反応してしまう。
恥ずかしくて答えられずにいると。
「やだ、顔真っ赤だよ! やっぱ泊まりなんだね?」
こくりと一度うなずいたマヤの両手を、今度はペトラが包み返す。
「そうなんだ、やったね! おめでとう!」
「……ありがとう」
「うわ~、とうとうマヤと兵長が…!」
皆まで言わず、その代わり感激の想いを握った手にこめて、上下にぶんぶんと振り回してくる。
「ペトラ、痛いよ…」
「ごめんごめん、嬉しくて。毎日一緒に食堂でごはんを食べてるとこを見るし、調整日には二人でいそいそとヘルネに出かけるとこも何回か見てるけどさ~」
「……いそいそと…」
……そんなに見られてるの? 恥ずかしい…!
「そう、いそいそと! 特に兵長なんか鼻の下伸ばしちゃって」
「そんなことないよ!」
……兵長が鼻の下を伸ばすなんてこと、絶対ない!
「そりゃ、ぱっと見はわかんないレベルだよ? でも私にはわかる。あれは絶対兵長、鼻の下伸ばしてるし、マヤと一緒にいるのが嬉しくてたまんないって言ってる」
「言ってない、言ってないってば!」
「照れなくていいって。いやほんと楽しみだね!」
「……うん、楽しみ」
「やっと素直になった~」
ぽんと肩を叩かれて、マヤはベッドの上で揺れている。
「いつ行くの?」
「24日」
「えっ!」
ペトラは口を大きく開けて、手のひらを添えた。
「ちょっと待って! 25日って兵長の誕生日じゃなかった?」
「そうだよ」
「やだ~! マヤったら照れてたくせにやる~!」
「……ん?」
「とぼけちゃって。このこの~!」
なぜか超ニヤニヤ顔のペトラに小突かれて、マヤは訳がわからなくて不思議顔だ。
「もう! マジでわかんない訳? これだよ、これ!」
ペトラは頭の上で何かを結ぶような仕草をしている。
「二人で甘~い夜を過ごして、日付けが変わったら頭にリボン結んで “プレゼントは私” ってやつをやるんじゃないの~?」
「そんなことしないわ…!」
“なんてことを言うの!” とマヤは必死で抗議した。