第31章 身は限りあり、恋は尽きせず
「“気づいてやれなくて、ごめんな” なんて謝ってきてほんと訳わかんない…」
ぷうっと頬をふくらませていたが、目を潤ませてマヤに訊く。
「ねぇ、私オルオとなんでも一緒にやりたがってるように見えてる? もしそんな風に見えてるなら、すごく困る」
「……そんなことはないよ」
少なくともマヤが見る限りでは。
だがエルドには違った。
……どこがだろう?
マヤにはわからなかったが、エルドには見えていた何か。
「でもペトラと一緒にいる時間が長いのは私じゃなくてリヴァイ班のみんなだから、もしかしたらそう見えているのかもね。たとえばグンタさんは…、あっ」
……グンタさんがペトラに、オルオと夫婦漫才をしろって言ったのは、もしかしたらエルドさんと同じように何かが見えていたからなの…?
マヤの考えたことは、すぐにペトラにも伝わったらしい。
途切れてしまった言葉のつづきを継いだのはペトラ。
「そんな風にグンタさんにも見えてたから “年忘れの宴会” に出ろって言ってきたのかもね。あ~、なんか四六時中一緒の先輩二人がそうなんだったら、そういうことか」
「いいんじゃない? そう見えても。オルオとは幼馴染みで同期なんだし」
「……それはそうなんだけどね。前にマヤに言われてから恋人の好きだけが好きじゃないし、オルオのことだって好きだったんだとは思ったよ。でもその想いは少しずつ自分のなかではぐくみたいっていうか、まだ慣れてないのに。だから…、困る!」
ペトラは両手を握りしめている。
「大丈夫だよ」
マヤは身を乗り出して、ペトラの手を包みこむように握った。
「エルドさんもグンタさんも… 私も含めてみんながペトラのことを好きだし、ペトラの想いを大切にしたいって考えてる。エルドさんはペアリング、グンタさんは宴会に出たらって言ってきたり…、その表現方法はそれぞれ違うけど、みんな見守ってるんだと思う」
「……そうかな?」
「そうだよ!」
手の中にあるペトラのこぶしを、ぎゅっと心をこめて。
「ありがとう、マヤ」
ペトラは、大好きな親友が優しく包みこんでくれている手のぬくもりを感じて幸せそうに微笑んだ。