第15章 壁外調査までのいろいろ
「はい?」
「生け捕りにする巨人に決まってるじゃないか。夢はでっかく15m級とか、思い切って奇行種とかいっちゃう~?」
「………」
「分隊長、マヤが困ってるじゃないですか。いきなりハードな質問しないでやってください」
「そうかい? ごめんごめん、マヤと一緒に巨人を捕まえるのかと思うと鼻血が出そうでねぇ! あれ? マヤ、全然食べてないじゃないか。駄目だよ! しっかり食べないと訓練に差し支えるからね、さぁ、食べた食べた!」
「……はい」
うながされてパンを手に取ったマヤに、ハンジは浴びせる。
「マヤの参加が嬉しくて、そのパン!」
千切って口に入れたパンを噛んでいたが、次の言葉にむせた。
「そのパンまでが巨人に見えるよ! ほら巨人の肉片みたいじゃないか。 巨人を無事に捕獲したらマーゴに頼んで巨人の形のパンを焼いてもらおう!」
ごほっ、ごほっ。
「分隊長! マヤに平和に朝メシを食わせてやってください!」
「ごめんごめん! マヤ、私に気にせずゆっくり食べるんだよ!」
「……はい」
水で喉に詰まったパンを流しこみながら、涙目でなんとか返答する。
「いやでもね、巨人のパンは自分で言うのもなんだけど、なかなかのいいアイデアだと思わない? モブリット?」
「……そんなの喜ぶの分隊長くらいじゃないかな…」
つぶやくモブリットの声は、しっかりと届いている。
「なんだい? みんな大喜びだって? そうだろ? ねぇマヤ」
「はい?」
「本当に巨人を捕まえたら、巨人パンを作ってみんなに食べさせようよ。マヤはマーゴと仲がいいだろう? 頼んどいてくれる?」
「ええ…、まぁ… 本当に巨人を捕まえられたら頼んでみますね…」
「やったー! 楽しみだねぇ、巨人パン!」
両手を高く突き上げて喜ぶハンジを見て、マヤも楽しい気分になってくる。