第15章 壁外調査までのいろいろ
……ん… このまま寝ちゃいたい…。
遠のく意識の果てを漂い始めたとき、バチャバチャバチャ! と大きな音が押し寄せた。
「マヤ! 風呂で寝ると溺れるよ!」
大きな歯切れの良い声に意識の果てから引き戻されたマヤが目を開けると、背の高いスレンダーな美女が腰に手を当て仁王立ちになっている。
「ナナバさん!」
「起きたかい?」
ナナバは笑いながら、マヤの隣に腰を下ろす。
「んーーー! 風呂は気持ちいいから、ついつい寝ちゃうのもわかるけどね!」
その形の良い長い脚を思いきり伸ばしながら、ナナバはつづける。
「でもね! うちの隣の家の爺さんさ、昔風呂で溺れ死んだんだよ。だから風呂で寝たら絶対駄目!」
「えっ? おうちで?」
「そそ、危険なのは壁の外ばかりではないってこと」
ナナバは湯の中で伸ばしていた足を、ザバーンと天井に向かって突き出した。
その鹿のような細いながらも無駄な脂肪のない筋肉質の見事な脚に、マヤは見惚れる。
「ナナバさん… 脚、綺麗…」
「そう?」
「はい。背も高くてスタイルいいし、憧れます!」
長い両脚を水面から突き上げたまま、ナナバは両腕も上げ うーん!と伸びをする。艶のある金髪はその性格を表すようにスッキリと短く、毛先から湯の雫がぽたぽたと落ちていた。
「マヤだってスタイルいいじゃん」
「……そんなことないですけど…。背… 低いし…」
「ほら… 胸でかいじゃん!」
ナナバはマヤの胸を小突いた。
「きゃっ!」
「背なんか高くても別になーんもいいことなんかないよ! それより胸がでかい方がいいな、私は」
水面から突き出していた脚を下ろしたナナバは、今度はゆっくりと首を大きくまわし始めた。どうやらエクササイズをしているらしい。
「そんな大きくないです…」
恥ずかしそうに自身の胸を両腕で抱えるようにするマヤに、ナナバは大きな声を出す。
「いや、でかいね。私のこの控え目で謙虚な胸と比べてみてよ!」
堂々と両腕を広げマヤの前に胸を曝すナナバ。
その動作につられ思わずマヤが目をやると、その乳房はツンと上向きに張っていて小ぶりながらも形が良かった。