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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第29章 カモミールの庭で


もうリヴァイは振り返らない。

ゴトゴトと大きな音を上げて去っていく辻馬車を見送って、マヤは心配そうな声を出した。

「あの… 兵長、いいんですか? 会議に出なくて」

「あぁ、欠席のつもりが遅刻にさせられたしな。最終的には出席だからなんの問題もねぇ」

「そうですか…」

マヤは不安そうな顔から一転、心底嬉しそうな笑顔を見せた。

「私は初めての街でザックのおばあさんの家を見つけられるか不安でしたし、兵長が一緒だと心強いです」

「あぁ、何も心配はいらねぇから。行くぞ」

「はい!」

二人は手近の商店に飛びこんで、聞きこみを始めた。

商人街とひとくちに言っても、ぴんからきりまである。片手で数えられるくらいの規模のものから、数十もの店舗が集まるものまで。店の種類も従業員が何人もいる大規模なもの、問屋レベルのものから老婆が細々と一人で店番をしているものまで。

イエローブは王都に幾つかある商人街のなかでも二番目に規模の大きな街だった。石畳の両側に種々雑多な商店がにぎやかに立ち並び、噴水広場もある。街路樹も綺麗に植えられていて、木陰にはベンチが設置されている。

さすが王都で二番目のモールといったところだ。

もちろん一番は王都の中心にある商人街、クリスタルブルーブだ。

「……見つかりませんね…」

十八軒目の聞きこみも不発に終わって、マヤはため息をついた。

「ザックの母親の実家となると、グレゴリーじゃねぇからな」

「あぁ…」

前途多難だとマヤが絶望の声を出す。

「だが商売人はきずなが強ぇ。メトラッハ村に嫁いだメリーを知っているやつが必ずいる」

「そうですよね…! 頑張りましょう!」

単純なもので、リヴァイに “必ずいる” と言われれば絶対そうだと思えて、マヤの絶望はいとも簡単に希望に変わった。

「あの、次はあそこのお店にしませんか?」

マヤが指さした先には、“季節の茶葉あります” と黒板にチョークで書いた紅茶屋らしき店が。

「そうだな、訊きがてら一杯飲むか」


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