第28章 たちこめる霧に包まれたひとつの星
「んんっ…!」
リヴァイの熱い舌に有無を言わせずに絡め取られてしまった。そのまま舌を吸われ、上あごの裏をちろちろと舐められる。
「あぁっ…」
生まれて初めて上あごの裏という場所をマヤは意識した。
……気持ちいい…。
最初の方はちろちろと、マヤが甘い声を漏らしてからはねっとりとしつこく。リヴァイは強弱をつけて丁寧に舐めまわす。上あごの裏以外にも歯の裏を舐めてみたり、頬の裏側や舌の根元の… もう喉といっていい場所まで、口中のありとあらゆる部位をしゃぶりつくされて、マヤは膝ががくがくと震えるのを感じた。
……もう駄目…、力が入らない…。
なんとか必死で呼吸をして、正常な意識を保とうと努力したが、どうしたって無理な話だった。
リヴァイが舌を絡めて吸い上げるごとに、上あごの裏をねっとりと舐め上げるたびに、びりびりと雷に打たれたような強烈な性的刺激と、ぞわぞわとした甘い痺れの両方が縦横無尽に全身を駆け巡る。
リヴァイとマヤの互いを貪り合うような荒い息遣いが、マヤの鼓膜を震わせて。そしてあふれてくる唾液をじゅるじゅるとわざと大きな音を立ててすすられ、飲みこまされて。
もう気持ちがいいのか苦しいのか限界のはざまで理解が追いつかない。
背すじは毎秒ぞくぞくと甘い戦慄が走り、視界はあふれる涙でぼやけ、意識が朦朧としていた。
「……兵長…、もう…」
もうやめてと言おうとしたのか、それはリヴァイにもマヤにもわからない。
なぜならマヤの膝はがくんと折れてしまったのだ。そして全身をだらんとリヴァイに預けて失神してしまった。
自身の腕の中で気を失ってしまったマヤを、リヴァイは優しくそうっとその場に座らせる。
自身の肩に寄りかかっているマヤの口からは、お互い飲み干しきれなかった、どちらのものかわからない唾液がつーっと垂れている。
「……飛ばしすぎたか…」
ぼそっとリヴァイはつぶやくと、兵服のポケットから綺麗に角を揃えて畳まれた白いハンカチを取り出した。
そしてそれで半開きになっている口の端からこぼれている唾液を、優しくぽんぽんと押し当てるように拭いてやる。
「……んっ、ふぅ…」
ハンカチの刺激でなのか、マヤが甘く艶やかな声を漏らした。