第28章 たちこめる霧に包まれたひとつの星
「はぁっ…」
もう何度目の口づけか、マヤは頭がぼうっとしてきてわからない。
けれどもさすがに何度も何度もふれるだけのキスを、くちびるだけではなく頬にもまぶたにもちゅっちゅと際限なくされていると、少しは慣れてきた気がする。
だから呼吸だってリヴァイのくちびるが一瞬離れたすきに上手にできるようになっていた。
それが嬉しくて、マヤはつい息継ぎの合間に笑ってしまった。
「はぁっ、ふふ…」
無心でマヤのくちびるを貪るようについばんでいたリヴァイが首をかしげる。
「どうした…? 何がおかしい」
「息がちゃんと… できるようになったから… 嬉しくて」
その言葉にリヴァイは片方の眉を高々と上げた。
「……随分と余裕なんだな」
「余裕だなんてそんな…」
“そんな…” と口をあけた途端に、リヴァイに力強く口づけられる。
そして…。
「あっ、んん…」
リヴァイの舌がくちびるを割って入ってきた。
初めて感じるぬるりとした熱い舌の感触。その舌が口の中の粘膜をゆっくりと舐めまわしていく。
……あっ、やだ…、これなに…!?
まだ何が自分の身に起こったのかもよく理解できずに、突如侵入してきたぬるぬるとした熱い舌に翻弄される。
後頭部にまわされているリヴァイの手はさらにがっしりと掴んできて、口は割って入ってきた熱い舌に蹂躙されて。
……このまま食べられちゃう…!
混乱する意識の中でマヤがそうぼんやりと思ったとき、突然激しい刺激に襲われた。
「あぁ、んっ」
最初は何が起こったかわからなかった。
「んんんっ」
マヤの舌はリヴァイの舌に絡められていたのだ。強く吸い上げられれば全身にぞくぞくとした快感が這いまわって、自分でも聞いたことのないような甘い声が漏れて、身体の奥底から痛いくらいの熱が生まれて。
……いや…!
自分の知らない強い快感が、急速に下半身から全身に広がっていくことにある種の恐怖を感じたマヤは、必死で抵抗を始めた。
絡み取られた舌を可能なかぎり奥に引っ込め、顔も背けた… つもりだったが、なにしろ後頭部を押さえられている。大して逃げることもできずに、すぐに捕らえられてしまう。
リヴァイの熱い舌はすぐさま奥の方で震えているマヤの舌を追いかけてきた。