• テキストサイズ

【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第26章 翡翠の誘惑


「……何を言っているのですか…?」

マヤは混乱した自分を落ち着かせようと、ひとことひとことをゆっくりと発音するように。

「結婚なんて… 考えたことはありませんけど…? どうしてそのようなことを…?」

案の定、マヤはかなり戸惑っている。

……当たり前だよな。誰だっていきなり結婚する気はあるのかなんて訊かれたら、はぁ?ってなるか…。

「急なのはわかっている。でも聞いてほしい」

レイは隣に腰をかけるマヤの方を向いた。

「こういうのは単刀直入に言わねぇと伝わらねぇと思う」

「………」

……なんだろう?

レイが今から何を言おうとしているのか皆目見当もつかないマヤは、黙って次の言葉を待つ。

「調査兵をやめて、オレと結婚してくれ」

「………?」

……はい?

結婚? 結婚してくれと今レイさん言った?

誰と?

私だよね…?

……なんで?

あっ! もしかして冗談かしら?

そうよ、だって大貴族のレイさんがなんで私と結婚したがるの? 大体知り合ってから数日しか経っていないのに。

きっと、からかっているんだわ。

そうだったとしたら、真面目に返事をしたら恥ずかしい。

何を勘違いしているんだって話よね。

ようやくマヤはレイの突拍子もない求婚に対して、冗談なんだという納得のいく答えを探り当てた。

だから “レイさん、からかうのもいい加減にしてください” と笑いながら返そうとレイの顔を見上げた。

するとそこには…。

今まで見たことのないレイの真剣なまなざしが待ち構えていた。

深みのある翡翠色の瞳は月の光を集めて、静かに煌めいている。

あらためてレイの美貌に息をのむ。

……この瞳のきらめきを知っているわ…。

まだレイが正体を隠してグロブナー家の舞踏会で給仕に扮していたときに。あの月明かりのテラスで初めて知ってしまった翡翠色の瞳の美しさ。瞳の中に無限に広がる夜空には白銀の月の光がキラキラと反射していて、どうしたってマヤは目を逸らすことができなかったあの瞬間。

今はそのマヤを惑わした翡翠の瞳が、ただ美しいだけではない光を宿していた。

この上もなく誠実で、真剣で、まごころのこもった愛の光を。


/ 1864ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp