第12章 心づく
………!
15歳も年上のミケに、マヤは少なからず衝撃を受けた。
「31歳… だったんですか…」
マヤの様子に、ミケは愉快そうに目を細めた。
「はは、かなりショックを受けているように見えるが」
「いえ! そういう訳じゃないんですけど… でも…」
「でも?」
マヤは言いよどんでいたが、ミケの瞳が優しい色をしていたので真っ正直な気持ちを口にした。
「でも、思ったより結構上で驚きました」
「はは」
「あの… 団長は…、エルヴィン団長はおいくつなんですか?」
「今度こそ当ててみろ」
マヤはうーんと声を出しながらあごに手をやる。
「分隊長より上ですよね? だから… 35くらい?」
「エルヴィンが悲しむだろうな。俺より二つ上だ」
マヤは慌てて弁解する。
「決しておじさんに見えた訳でなくって! 団長はものすごく大人な感じですから。だからですよ?」
「はは、わかってるさ」
ほっと胸を撫で下ろしたマヤに、ミケはまた訊く。
「では、リヴァイはどうだ?」
「兵長… ですか?」
「あぁ」
「うーん…」
……兵長って何歳なのかな?
これまたマヤは考えたこともなかった。
マヤはリヴァイを思い浮かべる。
白く小さな顔にかかる、黒く綺麗な髪。
怖いだけと思っていた眉間に深く刻まれた皺と三白眼も、紅茶を飲むと優しい色を見せる。
……不機嫌そうでなければ、兵長って結構少年っぽいよね? オルオの方がよっぽど年上に見える。
「難しいです…。25くらい?」
マヤが答えを出すと、ミケは鼻で笑った。
「フッ、リヴァイは27だ」
「また外れちゃった…」
「25歳なのはハンジだな」
「……そうですかぁ」
「見事に全滅だな」
「はい…」
しゅんとしているマヤの頭を、またミケは軽くぽんぽんと叩いた。
「という訳だから、俺はお前を子供扱いしてもいい」
「……どういう訳ですか!」
「はははは」
「もう!」
……こんなに楽しそうにしている分隊長を見るのは初めて。
そう思いながら、心底楽しそうに笑うミケと一緒にマヤも笑った。