【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
・・・何が起こった?
顔を上げると、真っ暗な空を背に立つアルバートの姿があった。
まるで知性のない巨人のように体を左右に振っている。
一瞬にして、恐怖が湧き上がった。
「アルバート、何やってんの?邪魔だよ、どいて」
「・・・・・・おれぁ・・・死ぬのか・・・?」
「は?」
「初列索敵班って・・・なんだよそれ・・・」
そういえば、作戦企画紙ではアルバートは初列索敵・・・つまり、一番危険で致死率の高い役割を担うことになっていた。
「おれぁ・・・まだ入団して半年足らずの新兵だぞ・・・なんでそんな場所に行かなきゃなんねぇんだ・・・」
「アルバート、私達は新兵じゃない。立派な調査兵だよ」
「なんで・・・死ななきゃなんねぇ・・・は・・・自分の命は自分のモンだ・・・」
泥酔しているために、目の焦点が合っていない。
とにかく、体を起こさなければ。
「そこをどいて。起き上がれない」
「・・・・・・・・・・・」
一瞬、アルバートが誰かの名前を口にした。
「会いに行ったんだ・・・どうしても会いたくてよ・・・・・・」
「え?誰に?」
「憲兵の奴ら・・・コネを作って・・・でも、会ってくれなかった・・・」
言っていることが支離滅裂で理解できない。
「憲兵団の所まで、誰かに会いに行ったの?」
「ロゼ・・・」
その名を口にした途端、アルバートの目に涙が溢れてきた。
「ロゼだよ、ロゼ!訓練兵の頃からずっと好きだった。あいつだけを見ていた!」
「そ、そうだったの・・・?」
「俺が調査兵団を選んだのはてめぇのせいだ、サクラ!!」
「な・・・」
アルバートはサクラの腰の上にまたがると、両手を地面に押しつける。