【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
深夜0時。
2日後の壁外調査の作戦企画を確認していたら、こんな時間になってしまった。
無性に喉が渇き、サクラは談話室へ向かった。
扉を開けると、人の気配がする。
目をこらして見ると、そこにはテーブルに突っ伏しているアルバートの姿があった。
「アルバート、寝ているの?」
ほんの少し近寄っただけでアルコールの匂いが鼻をつく。
「ちょっと、なにこれ・・・」
アルバートの足元には酒のボトルが何本も転がっている。
どれも空だった。
「アルバート!起きなさいよ!」
「・・・・・・うう・・・」
息にアルコールと混じって、嘔吐物の匂い。
飲んでは吐き、吐いては飲んでの繰り返しだったのか。
「体を壊すよ?部屋まで連れて行くから」
「・・・・・・余計なことすんな・・・クソ女・・・・・・」
「はいはい、クソ女でわるうございましたね」
アルバートの部屋は、確か男子棟の2階だ。
手伝いを頼めそうな人は見当たらないが、一人で連れて行けない場所ではない。
「ちょっと、ちゃんと歩いてよ」
酔いつぶれた男は、とにかく重い。
なんで水なんか飲みに来てしまったのだろう、と少し後悔した。
そうしたらこんな厄介ごとを背負いこまずにすんだのに。
男子棟に行くには、中庭を通った方が早い。
このまま廊下を迂回していくのは大変だ。
そう思って、灯りのある廊下から暗い中庭に足を踏み入れた、その瞬間だった。
「・・・!!」
突然、ものすごい力で首を掴まれ、草むらの中に押し込まれる。
「ゲホ!ゲホッ、ゲホッ!」
喉を圧迫されたのと草が口に入ったのとで、激しく咳きこんだ。