【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
相変わらず、壁外調査が近づくと兵団内には異様な空気が流れる。
死を予感しているのだろう、顔を強張らせて酒をあおっている者。
ブツブツと何かを呟きながら、手紙や日記をしたためている者。
それぞれの方法で恐怖と戦っていた。
最初の時は、サクラもエレン達に会いに行った。
家族のいない自分にとって彼らは弟妹のような存在で、顔を見ておきたいと思ったから。
でも今は違う。
調査兵の存在理由、それは壁外に行って人類の希望を捜すこと。
生死はその過程でしかない。
死を恐れるなら、調査兵を辞めればいい。
エルヴィンはそれを止めはしないだろう。
だが、希望の灯火が消えれば、壁の端から中央にいたるまでの全人類が、平等に死の恐怖に晒されることとなる。
それを防ぐため、エルヴィンは外道と言われようが壁外調査を行い、ハンジは変人と言われようが巨人を調べ上げる。
ならば自分は・・・
鍛錬と経験を積み、この命を人類に捧げるに値するまで高めよう。
死は怖くない。
むしろ、価値のない命を永らえる方がつらい。
だけど、そうでない者もいた。