【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第2章 Light Behind the Clouds
6時30分。
部屋に戻ると、相部屋のフリーダがようやく起きたところだった。
「おはよう、サクラ。集合は7時30分だっけ?」
「うん、兵舎の講堂。まさか、入団翌日に配属が決まるなんて思っていなかった」
サクラは、水で汗を流しながら言った。
朝食は7時。
それまでに着替えを済ませ、身の回りのものを片付けなくては。
配属される班によっては、午後には旅立たなければいけないのだから。
とは言っても、この調査兵団用の寮には一泊しただけなので片付ける荷物もないが。
「サクラはどこの班に入りたい?」
どこの班と聞かれても、まだ調査兵団の組織をよく知らないので何とも言えないが・・・
「主力部隊には・・・入りたいな。おこがましいかもしれないけれど」
「“高み”を狙うね~」
フリーダがからかうような瞳を向けてきた。
もちろん、どの班に入ったところで、戦死する確率が減るわけではない。
調査兵を待ち受けているのは、壁外での仕事のみ。
よほど志が高いか、自分の力に自信があるかしなければ、選ぶような職ではない。
「エルヴィン団長に近い班がいいんだ。殉死する時は、団長の直接的な力になって逝きたい」
「ふーん・・・ここ最近のサクラは、本当に団長に熱を上げているね。まさか、本気で団長のこと・・・?」
「ち、違うって!そういうんじゃなくて、なんていうかな、尊敬しているんだよ」
「心酔って方が近いんじゃない?あなた、まさか団長に“死ね”と言われて、死ぬつもりじゃないでしょうね?」
「それが、団長のお考えなら。でも、死ぬつもりはない。自由への礎となるだけ」
訓練兵団の寮では、自分やロゼと相部屋だったフリーダは、声をあげて笑った。
「ほんと、サクラって面白い。誰よりも真面目で、頑固。それでいて危うい。ロゼから言われているのよ、“絶対にサクラを死なせないで”ってね」
「ロゼったら、本当に心配性」
「私だって心配しているのよ。最初の壁外調査で死なないでよね。じゃないと、ロゼに合わせる顔がなくなる」
フリーダはふと真面目な表情に戻ると、ウォール・シーナの方角へ目を向けた。